子供のお腹の病気

幼児の腹痛 早期発見と手当て

 子供の病気の中で、風邪と同じくらい多いのがお腹の病気です。実際、子供を育てて行くうちには、「お腹が痛い」という訴えをしばしば聞くに違いありません。

 おとなの腹部の病気との違い

● 他の部分の病気がお腹に表れる
 ところが、大人ですと、お腹が痛い時には、まず間違いなく腹部のどこかに病気があるのですが、子供は大人と違って、身体の他の部分の病気でも「お腹が痛い」と訴えることもあるのです。

● 腹部の病気が全身の症状として表れる
 もちろん、お腹だけの病気のこともあります。こんなときは、お腹の病気が、身体全体の症状となって表れます。

 このように、子供のお腹の病気は、お腹の病気が全身の症状として表れたり、他の部分の病気がお腹に表れたりするところに特徴があるのです。

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 乳児のお腹の病気

 お腹の病気があっても、乳児はもちろん症状を訴えることは出来ません。したがって、病気を発見するにはお母さんがふだんから、子供の健康状態を細かく観察していることが大切です。

● 表れやすい症状
 本当にお腹に病気があるときには、元気がなくぐったりして、食欲も進まないものです。それに、激しく泣きます。しかも、お腹をかばうような格好で、身体を折ります。

 この時期によく見られるお腹の病気を、次にあげてみましょう。

● 腸重積症
 乳幼児のお腹の病気で、急に発病し、しかも、治療が遅れると、大事に至るものに腸重積症があります。

 この病気は、腸と腸が靴下を裏がえすように、口側の腸が肛門側の腸に入り込んでしまい、激しい腹痛をともないます。小腸の終わりの部分が大腸のはじめの部分に入り込むことが多く、ほかに大腸が大腸の中に入ったり、それがさらにまた大腸の中に入ることもあります。

 症状
 急に元気がなくなって不機嫌になり、火のついたように激しく泣き、なにを飲んでも吐いてしまいます。また、肛門から出血しているような、血便を出します。

 ふだん元気があるのに、急に乳を飲まなくなり、ときどき痛みを訴えるように泣いたり、吐き気があったり、血便を漏らすようならば、腸重積症の恐れがありますから、ただちに医師の診察を受けて入院させなければなりません。

 台風の多い8、9月とか季節の変わり目に多いといわれていますが、あまり根拠はなく、1年中通して見られます。

 腹膜炎の併発
 腸重積症の発見が遅れると腹膜炎を起こし、大事に至ることがあります。

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● 下痢
 赤ちゃんは、生理的に水分の多い便を出すことがしばしばあり、これがよく消化不良と間違えられます。

 特に母乳栄養児に多く、また、離乳期に野菜や果物など、水分の多い食べ物を取りますので、やわらかい便が出がちです。しかし、機嫌がよく食欲もあり、元気があれば、これらの下痢のような症状があっても全く心配することはなく、きわめて生理的なものといえます。

 症状
 しかし、機嫌が悪い、吐く、食欲がない、体重がいっこうに増えない、などの場合には、下痢が全身に影響を及ぼしていると考えられますので、ただちに医師の診察を受けることです。

 脱水症状
 下痢が続くと、身体の水分が不足して脱水症状におちいり、全身状態が悪くなるので、水分の補給は特に大切です。

 しかし、下痢が激しくて脱水症状が表れてしまうと、消化不良性中毒症を起こし、口からいくら水分を与えようとしても受けつけません。状態はますますひどくなるばかりです。

 こんな場合には、血管の中に直接に水分を補う以外に方法がなく、家庭での治療は無理ですから、入院させることになります。

 下痢と肛門のただれ・出血
 下痢が激しく長く続くと肛門がただれ、粘膜が破れて出血することがあります。下痢が続くときは、お湯でふいてあげてください。

● 便秘
 大人もそうですが、特に乳児の場合には食べるもの、飲むものが少ないと、出るものも少なくなります。これは当然の現象ですが、便秘というのは、便がかたく、便の回数が少なく、出にくくなることです。しかも、出るとき痛がります。

 心配のない食事性の便秘
 離乳食としてタンパク質の多い魚や、卵などの食品を多くとると便秘になります。また、偏食が原因になることもあります。しかし、このような食事性の便秘は、あまり心配しなくてもよいでしょう。

 腸の運動の不活発が原因になる便秘
 しかし、腸の運動が不活発なためにおこる便秘もあります。運動不足(ことに寒い季節に家の中に閉じ込めておく)や厚着、日光浴や外気浴の不足などから、腸の運動が不活発になりやすいものです。体質による場合もあります。

 いずれにしても、食事性の便秘か、育て方によるものかを、よく見きわめることが大切です。

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● 腹部ぼうまん
 腸の中にガスがたまると、お腹がふくらんできます。このような状態を腹部ぼうまんといいます。この状態が強く長く続くと、子どもは機嫌が悪くなり、食欲もおとろえてきます。

 離乳期などに糖分の多い食品を与えすぎますと、腸の中で食べ物が発酵して、ガスが腸の中にたまってきます。このようなお腹のふくれは、糖分の多い食品を少なくすることによって、自然になおります。

 ほかの病気が原因になる腹部ぼうまん
 例えば、肺炎の場合、腸管が麻痺して腸の働きが衰え、ガスの排泄が悪くなって腹部がふくらむことがあります。

 生後4か月の赤ちゃんが、ちょっと風邪ぎみだということで病院に来ました。呼吸器の症状は少ないのですが、お腹がふくらんでいるのでレントゲンを撮ってみると、肺炎だということが分かりました。
 
 これなどは、前に述べたように、お腹の状態が他の部分の病気から起こった一つのよい例でしょう。

 肺炎でお腹がふくらんでいるときは、毒素による中毒症状が出ているのです。したがって、抗生物質の投与や酸素吸入が必要なので、入院して治療しなくてはなりません。

● お腹がへこんでいる
 消化不良症や消化不良性中毒症などでは、下痢が激しく、腸の内容物が出てしまうと、当然お腹がへこんできます。腸重積症の場合でも、はじめは腸内にガスがたまってお腹がふくらんでいますが、出血が始まると、お腹がやわらかくなり、へこんできます。

● 鼠径ヘルニア
 男の幼児に鼠径ヘルニアが出ることがあります。これは陰部の上外側にふくらみとしてあらわれ、生後2~3か月ころから気づかれるものが多く、ついで生後1年くらいの歩きはじめのころにあらわれるものが多いようです。

 胎児の睾丸は、はじめは腹腔内にあるのですが、妊娠8カ月になると両側のももの付け根から鼠径部を通って下がり、陰嚢におさまります。

 両側の鼠径部の通路が、睾丸の通過したあと、十分にふさがらないこともあります。すると、開いたままの通路の後に腹腔内の腸などがはみ出して、鼠径ヘルニアになります。これは手術で治しますが、生後3カ月以後なら、できるだけ早いほうがいいといわれます。

 ヘルニアのかんとん
 はみ出した腸がもとにもどらずそこが腐ってしまうヘルニアのかんとんという病気もあります。これを放置したり手術が遅れると、一命にかかわる問題になってしまいます。