子供の躾;躾の六つの基本


● 生活のリズム、生活の調和を身につけさせる

 第一は、強くて豊かな生命を育てる生活の仕方を身につけることです。特別な注意をしなくても、子供の欲求のおもむくままにしておいても、ある程度の生命は育っていくでしょう。

 食べたい時に食べられるだけ食べ、睡眠も運動も好き勝手にしても、なるほど成長するには違いありません。それでは人間の成長としてもっとも望ましいものになるかというと問題があります。

 乳幼児とはいえ、生活の活動にはさまざまの面があるのです。そのそれぞれがその場あたりに営まれたのでは、どこかに無理がおこるはずです。それぞれの活動がきちんと時間通りでないにしても、だいたいは決まった時間になされるほうが、なにかと生活は便利です。また、それでこそ健康も保たれるでしょう。

 このように、一つ一つのやり方を身につけると同時に、それらをすべてひっくるめて、1日24時間の調和のとれた生活の仕方を身につけることが、躾の基礎となるのです。

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● 安全の感覚を身につけさせる

 第二は、何度も言うようですが、安全の問題です。両親がせっかく大切に育てた子供の生命が、ゆく末長く安全であるような生活の仕方を身につけさせてやるのです。

 それには、子供たちにとって危険な設備や道具や施設に近づいたり、用いたりしないように躾てやることが、まず出発点になります。

● 時代に適した生活のしかたを身につけさせる

 第三は、生活の基本となる生活のしかたも、安全な行動のしかたも、時代とともに変わるということです。

 ついこの前までは、川や溝や池などが、子供にとって最も危険な物でした。これらは、いまでも危険ですが、今は、自動車や誘拐などということが、子供に一番危険なものになってきています。

 また、昔は、家の職業などは代々あまり変わらなかったので、商家は商家のような、農家は農家のような生活の仕方があって、基本的な生活の仕方もおのずから決まったものがありました。

 ですから、祖父から父へ、父から子へとその家の躾が受け継がれて、大人は子供に教えたものです。

 しかし、こんにちでは、父の職業を子供がそのまま受け継ぐとは限りません。家も道具も、近所に住む人も、近所の様子も、広く社会全体も変わりなく続いていくということは、むしろまれなことになって、生活の仕方はだんだん変っていきます。
 
 躾の基本は生活の仕方を身につけさせることであるという点は変わらないにしても、生活の仕方が変われば、その内容は変わってきますし、今後も変わり続けるでしょう。ですから、子供に躾をする大人は、社会の変化によく注意しなければなりません。

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● 社会生活に共通した躾を身につけさせる

 第四に、躾は自分の子供のためだけのものでも、家族のためだけのものでもないということです。それにはまず、その子供が人からされて困るようなことは、ほかの子供にもしないような生活の仕方を身につけさせる事です。自分の家で子供がしたらいけないことは、よその家に行ってもさせないことです。

 躾は、社会生活の上でみんなが共通して必要な生活の仕方です。自分の家だけで通用するものでなくて、どこでもだれにも通用するものが躾です。”他人に迷惑をかけないこと”などは、その例です。

● 自然な行動として身につけさせる

 第五に、躾は生活の仕方を知っていれば良いというのではなく、しなければならない時には体が自然に動いて、行動できるようにしてやることです。

 「お母さんは、してはいけないと言っていたけれど…」と考えながら、ついその禁止されている事をやってしまう、これでは困るのです。“なぜしてはいけないのか” “なぜしなければならないのか”が分かっていれば、その通り自然な行動として出来るところまで躾ておかなければなりません。

 乳児や幼い子で、まだ”してはいけない理由”や”しなければならない理由”が理解できない場合でも、生活の仕方の基本は必要な場面では出来なければなりません。これは、躾は全て”問答無用”で強制すべきであるというのではありません。

 生命に直接的に影響することや成長に悪い影響のあることの禁止は、理由の理解できない段階の子供にも、生活の仕方として身につけさせなければならないということです。

 ただ、この場合、子供の発達段階や生活の実際の状況をよく理解して、その子供に適した方法で躾をしなければならないことはいうまでもありません。

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● 社会に一人で生きていける基礎を身につけさせる

 第六は、子供たちの生活の仕方を教え育てていくことが躾であるとすれば、躾全体の基礎となるさらに重要なものがあると思います。それは、子供が立派に社会で一人で生きていけるような、基礎的な態度を身につけてやる事です。

 ”子供が一人で生きていけるようにする”といっても、子供を早く独立させるためとか、親は子よりも長生きしないのが普通であるからという心配からではありません。

 また、親と子の二世代はそれぞれ別に生活を営むのが現代風であるとか、子供は親から離れたがるものであるとかいう事でもありません。

 それよりも、親や保護者は、子供の現在と将来の全てにわたって、生活の仕方を教えてやる事が出来るのかどうかということです。「私の生きている間は大丈夫だ」という親もいるでしょう。

 また、まるで親が子供に代わって生きていくように、子供の職業選択から結婚生活の全てまで、面倒を見なければならないと考える人もいるでしょう。世の中が変わらないものであれば、善意は別にしても、これはある程度は可能かもしれません。

 しかし、親が想像もしなかったような生活を、子供がしなければならないかもしれません。親も教師も教えなかった状況がおこっても、子供たちは生きていかなければなりません。その時には、子供たちは自分で考え、判断し、行動していくより方法はありません。“一人で生きていける”というのは、そういうことです。

 親が与える生活の仕方の“型”を着実に身につけさせると同時に、よりよい生き方を自分自身で開いていくような自主性、創造性を大事に育てていくことが、いろいろのしつけの基礎になっていなければならないのです。