子どもの性格-幼児の嘘


● 大人の嘘と幼児の嘘
 嘘というのは、相手が気づかないことを予想して、ありもしないことをわざとこしらえ、それによって相手のある行為を引き出し、自分が得をしようとする行動であるといえましょう。

 大人の嘘の大部分は、このように他人をおとしいれるような性質をもっています。しかし、幼児の嘘のほとんどは、このような特性のいくつかを欠いているのがふつうです。

● 空想と現実の混同からつく嘘
 子供でも、夢と現実の違うことは知っています。しかし、夢はどこにあるかと聞かれますと、やはり目の前にフィルムのように“見える”のだといいます。”見える”ということは、子供にとっては“ある”ことと同様なので、つい“見てきたような嘘”を言うことになります。

スポンサードリンク

● 言語能力の未発達による嘘
 「おうちぐらいも大きな自動車が走ってきたよ」などという表現は、適切な表現を知らない幼児によくあることです。夢と現実との混同にせよ、不適切な表現にせよ、結果的に嘘になっているだけで、いずれも他人をだましたり利益を得ようという意図があるわけではありません。

● 自分の願望をたくした嘘
 幼児は願望や欲望が満たされないと“こうあってほしい”という気持ちを“こうだ”という形で表現することがあります。これはよく見られる幼児の嘘です。

 たとえば、ジェット機に乗ってみたいと思い込むと「きのうジェット機で大阪に行ったよ」などと、出まかせを言います。この嘘は、ありもしない状況を構成したことは事実ですが、一種の自己満足であって相手をおとしいれたり、自分が得をしようという気持ちはありません。

 しかし、このような嘘の場合、子どもの心に強い欲求不満のひそんでいる点が問題なのです。

● 自分を守るための嘘
 しつけの厳しすぎる家庭や、一貫した方針のない家庭でよく見られる幼児の嘘です。自己防衛のための適応のしかたは単純ですから、注意して見ていればよくわかります。子どもにとっては、本能的なウソでしょう。

 駆け足の遅い子に、無理やり競争させようとすると、「足が痛い」とごく自然に言うし、ガラスを割った子はしかられることをおそれて「ぼく知らないよ」と言います。これはどの子でもそうです。

 しかし、「お弁当食べ残したら、おこるわよ」などというと幼稚園の帰りに食べ残しを捨てて、「みんな食べたよ」というたぐいの嘘は、しつけが厳しすぎて子どもの自己防衛の必要度の高いことを示しており、むしろ親の側に反省の必要がありそうです。

● 大人の嘘と同様の嘘
 これは、幼児にはあまり見られません。“願望をたくした嘘”や“自己防衛の嘘”をついているうちに“ウソの効用”を知ったとき、この種の危険な嘘が発生してくるのではないでしょうか。

スポンサードリンク

● 幼児に“嘘つき”はいない
 計画的な嘘は、幼児の段階ではまだ無理です。幼児の罪のないウソをあまり神経質に攻めないほうがよいでしょう。また、苦し紛れの自己防衛の嘘を、頭ごなしにしかるのも逆効果の恐れがあります。

 子どもは、言い訳のためにいっそう嘘を上塗りする結果にならないとも限りません。自分に閉じこもって無口な子になるかもしれません。しかる前に、子どもの言い分をよく聞いてやり、本当のことを言える勇気をやしなわせたいものです。

 おとなが“ウソも方便”というような言動を日常しめしてはいけないことは当然です。