赤ちゃん(新生児)の感覚反応

 反射は、生まれたばかりの赤ちゃんに対して、外部からなんらかの刺激があたえられたときにおこる反応の一種です。したがって、そのような反応がみられるということは赤ちゃんがその刺激を感じ取っている、ということになります。

 では、新生児期に、どんな刺激を、どの程度感じ、区別することができるのか、つまり感覚はどの程度発達しているのでしょうか。

● 皮膚感覚
 皮膚感覚には、圧覚、痛覚、温覚、冷覚がありますが、ほかの感覚と比較するとかなり発達しています。とくに進んでいるのは温度にたいする感覚で、ほんのちょっとした温度の差で、ミルクを拒否したりする新生児がわりあい多いのです。

 これにたいして、痛覚は出生時にはそれほど敏感ではないのですが、その後急速に進歩するものです。

● 味覚
 味蕾(舌にある味を感じる器官)は、出生前に完全に完成されています。吸せつ反応への影響を見てみますと、甘味のときはよく吸い、苦味のときは拒みます。したがって、味覚もかなり早くから働いていると考えられるのです。

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● 嗅覚
 臭いをかぐことは、ある程度まで可能だといわれていますが、はっきり分かっていません。

● 聴覚
 出生後、呼吸、号泣、あくびなどによって、中耳のなかにある液体(羊水)がかわいて、耳管が通じるようになるのは、約1週間はかかります。そうなると音波を感じ取ることができるようになります。しかし、それ以前でも、強い、鋭い音にたいしてはからだを収縮させる反応を起こします。

 中耳がかわいたあとでは、音にたいする感受性がしだいに強くなるわけですが、強い音の刺激が反復されたり持続されたりすると、反応しなくなってしまうことが多いので、注意しなければなりません。

● 視覚
 視覚は、聴覚とともに人間が外界におこっていることを知る、もっとも大切な手段です。それだけに、その後の運動、知的機能の発達にも多いに関係するものです。

 視覚の発達にとって基礎になるのは、明るさの区別であり、これは出生直後でもぼんやりとしているが可能だ、とも言われています。しかし、これがはっきりするには、16週間ぐらいはかかります。色の区別はさらに遅れます。

 <感覚の発達と育児環境>

 生まれたばかりの赤ちゃんは、1日じゅう眠ってばかりいる生活で、からだのいろいろな働きも、まだ1人前ではありません。こころとからだもまだ未分化の状態で、自分ではなんにもできないのです。

 しかし、中には感覚のようにかなり進んでいる器官もあります。とくに、直接生命の維持に関係する皮膚感覚や味覚は、かなり発達しています。いっぽう、聴覚や視覚のように、運動や知的活動に関係する感覚は、出生直後から発達していきます。

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● 感覚の発達には周囲の働きかけが必要
 運動や知能にかかわりのある感覚の発達が遅れているということは、逆に、出生後に多くの経験を重ねながら、その感受性を学習していくわけで、周囲からの働きかけや刺激がいかに大切かということがよくわかります。

● 刺激は強すぎても、乏しくてもいけない
 そのような意味から、聴・視覚の発達をさまたげる騒音や強すぎる光、視覚的な刺激の少ない暗い部屋、なにも変化のない殺風景な部屋などは、新生児の感覚の育成という点で、決して好ましいものではありません。

 感覚の発達をすすめるという点だけでなく、情緒的な安定をも考えると、落ち着いた明るい部屋で、しかも天井や壁に変化にとんだところで新生児を育てるということが必要なのです。